生物園とホタルの光 キャンペーン
生物園にとってホタルは設立のきっかけにもなった重要な生物です。そして2025年は生物園最大のホタル観賞イベント「ホタルの夕べ」が1985年に初めて開催されてから40年の節目の年となります。
そしてホタルの光は、かつて水辺が豊かだった足立区民には身近な光の一つでした。区内ではもう野生のホタルの光を見ることはできませんが、この機会にホタルの光を御覧いただき、自然と人との共生について思いを馳せてみてください。
足立とホタルと生物園
足立区とホタル
足立区は大小様々なの河川や水路に囲まれた水の街です。大正13年に放水が始まった荒川放水路を始め大小様々な水路が血管のように区内へ広がり、水田も多くありました。
区内では水田などの止水性の環境を好むヘイケボタルが多く自生しており、人々にとって重要な初夏の楽しみのひとつでした。当時は水路の周辺にいたホタルをうちわで落として捕まえ、蚊帳の中へ放してその灯りを楽しんでいたそうです。街明かりが消えた戦時中も、ホタルの光は灯り続け、当時の区民の心を照らしていたはずです。
しかし、高度経済成長期になると、水質悪化や水路の多くが暗渠となったことで生息数が激減。今では多摩地方を除く東京都市部から全く姿を消してしまったと言われています。

1932年当時の堤北
生物園とホタル
そんな足立区民にとって身近だった自然の光を再びご覧いただくため、生物園が開園する遥か前、当時の足立区職員たちによってホタルの飼育がはじまりました。その際に飼育場所として選ばれたのが、水質検査用の井戸があり、水資源が豊富な元渕江公園でした。
1979年には飼育したヘイケボタルを使った初めての観賞会が元渕江公園と教育センターで開催されました。観賞会は大好評で、翌年には展示設備としてプレハブ小屋が建設され、ゲンジボタルの展示も行われました。

1970年の元渕江公園
(国土地理院空中写真)
ホタルの夕べ開催
ホタル観賞会への期待はさらに高まっていき、1985年にはホタル観賞を目的にした大型のドーム施設「ホタルドーム(現・昆虫ドーム)」がオープン、このホタルドームを使用した大型観賞イベント「ホタルの夕べ」が始まりました。そして初めのホタル観賞から14年後の1993年10月、ホタルドームの横に足立区生物園が開園しました。
生物園開園後も、初夏の風物詩として定着していたホタルの夕べですが、2008年からは「ホタルの夕べ」から展示生体数の規模を縮小した室内展示「ホタル見night!」へ内容を変更しました。その後、2018年にはホタル観賞会が10年ぶりに「ホタルの夕べ」として復活しました。そして2025年は初めて開催されたホタルの夕べから40年の節目となりました。

ホタルの夕べ(2023年)
ホタル飼育のうらがわ
生息地の環境変化に敏感なホタルを飼育・展示し続けることは並大抵のことではありません。生物園ではさまざまな工夫をすることで、毎年皆様にホタルの光を楽しんでいただいています。
展示場の工夫
都市部は夜でも街灯に照らされ、これらの光はホタルにとっては明るすぎ、ホタル同士の光を使ったコミュニケーションにって大きな障害です。生物園ではホタルの夕べ開催に合わせて、観賞で使用する昆虫ドームを黒い幕で覆い、自然界に近い暗い環境を再現しています。
また、昼のホタル鑑賞会でも明るさの調整を行うことで、ホタルに夜間であると錯覚させることで、日中でも光るようにしています。

黒い幕で覆われたドーム
自然環境を再現した上陸水路
ゲンジボタルは流水性ホタルで、自然下では水路や小川で幼虫期を過ごします。生物園では、流れのある水環境を人工的に再現した飼育設備「上陸水路」があり、水槽で大きく成長させた幼虫をここに放流します。幼虫は3月下旬になると上陸して土に潜るため、上陸水路は水が流れているだけではなく、柔らかな土壌や水苔など自然環境を再現してあります。
これらの環境が適切に維持できるように水路掃除や土を耕すような作業もホタルの飼育にはとても重要です。

上陸水路
雌雄を別に飼育
飼育しているゲンジボタルが成虫に羽化し始めるのは5月頃。ホタルが成虫になり交尾・産卵を行ってしまうと寿命が短くなってしまいます。そのため、羽化の時期になるとスタッフは毎晩、夜に残って、羽化直後の成虫を採集し、オスとメスに分けて飼育を行います。
ホタルの雌雄は腹部の先端の発光器の「節」の数で見分けることができます。

ホタルの雌雄の見分け方
【事前申込】
ホタルの夕べ
日 付:2025年5月29日(木)、30日(金)、31日(土)※、6月1日(日)
※雨天決行(生体や荒天時などにより中止する場合がございます)
※5月31日は足立の花火開催による交通機関の混雑が予想されます。
時 間:①19:30- ②19:45- ③20:00- ④20:15- ⑤20:30- ⑥20:45-
※19:20開場予定
定 員:900人(各日)
対 象:どなたでも(小学生以下は保護者の方とご参加ください)
参加費:18歳以上 700円
18歳未満 350円(未就学児含む)
申 込:①WEB申し込み(先着事前決済)
②往復ハガキ申し込み(抽選制)


ゲンジボタル
イベント内容
夜の観察展示室
観賞までお待ちいただく間、観察展示室の夜の様子をご覧いただけます。またイベント中は、展示室内にホタルの生態に関する特別展示パネルを設置いたします。楽しみながらホタルの生態について知ることができます。
※一部、封鎖している展示もございます。
ホタル観賞ドーム(5分程度)
本イベントのメインです。ホタル観賞に関する注意事項をご説明した後、暗い通路で目を慣らしながらドームへと向かいます。
ドーム内では、ゲンジボタルを中心として約500頭のホタルが光りながら乱舞しています。ドーム内を歩きながら観覧いただくことができます。
限定ミュージアムショップ
ホタル観賞後は、ミュージアムショップにてホタルや生物園の生きものに関連したグッズ販売を行います。生物園オリジナルグッズの販売もございます。

夜の観察展示室

ホタル観賞ドーム(5分程度)
お申込み
WEB申込(先着)
WEB申し込みに関するお問い合わせ先

往復はがき申込(抽選)
はがき申込の応募枠は限られております。webでのお申し込みが可能な方は、ぜひweb申込をご利用ください。
【ホタルの夕べ注意事項】
全体に関すること
- 2025年5月31日は「足立の花火」が東武スカイツリーライン「北千住駅」周辺で開催されます。北千住駅をはじめ、周辺の交通機関で大変な混雑が予想されますので、あらかじめご承知の上お申し込みいただき、お時間に余裕をもってお出かけください。
- 生体の発生状況によって、展示規模や期間を変更することがございます。
- 雨天決行ですが、台風や警報級の豪雨など荒天時は中止する場合がございます。
- お客様都合のキャンセルはできかねますのであらかじめご了承ください。
- 近隣の駐車場は混雑が予想されます。公共交通機関をご利用ください。
ホタル鑑賞時の注意事項
- ホタル観賞時は「カメラ」「ライト」「スマホ(携帯電話)」などのデジタル機器は使用できません。
- ホタル観賞は写真・動画撮影が禁止です。あらかじめご了承ください。
- ホタル観賞時は「光る靴」や「蓄光服」などの発光・蓄光するものが着用できません。あらかじめご確認の上ご来場ください。
- ホタル観賞ドーム内は大変暗くなっています。施設にある手すりを頼りにゆっくりとお進みください。
- 歩きながら観賞する方式です。観賞中は立ち止まることができません。誘導員の指示に従ってお進みください。
【当日参加】
昼のホタル観賞会
ホタルの夕べ実施後には、日中の開園時にホタルの光をご覧いただける「昼のホタル観賞会」を実施いたします。
ヘイケボタルの光を中心に、屋内で着席しながら鑑賞していただくことができます。
日 付:6月7日(土)、8日(日)、
6月14日(土)、15日(日)、
6月21日(土)、22日(日)、
6月28日(土)、29日(日)
時 間:13:00-16:00※20分毎に入れ替えて実施
方 法:当日、実施場所に集合
定 員:各回40人(先着)
対 象:どなたでも(就学前の子供は保護者同伴)
参加費:無料(別途入園料)
※生体の状況により、実施内容が変更になる場合がございます。

そのほか
【企画展示】
のぞいてみよう!生物園のお仕事展
…水の生きもの編…
期間:5月21日(水)~7月6日(日)
生物園の裏側ではいったいどんな「お仕事」が行われているのでしょうか?普段はなかなかわからない生物園の飼育・展示など様々なお仕事のヒミツに迫る展示です。
5月21日からの後半はホタルをはじめとした「水の生きもの」がテーマ。ホタルの飼育に関する様々な工夫についても紹介いたします。

【動画】
生物園までの公開したYoutube動画の中でホタルに関連したものを紹介します。
ホタルの夕べに参加される方および来年以降の参加を検討されている方必見!
— 足立区生物園 (@seibutuen_info) May 23, 2024
ホタル飼育担当直伝!ホタルの夕べの楽しみ方!#生物園 #足立区 #ホタル #ホタルの夕べ
※今年のホタルの夕べについては前売チケットが完売しております。ご理解の程宜しくお願いいたします。 pic.twitter.com/6BXfUtoZE3