解説員のひとりごと

2019年9「ウマの武器

 
大型の草食動物は、それぞれ身を守るための武器(特徴)を持っています。ウシやシカの仲間は角を持っているし、ゾウは大きな体そのものが武器と言えます。
 
子どものころそんな話題を友達と話しているとき、ウマの武器は後ろ足のキックだと考えて「いまいち、インパクトがないなあ」などど思っていたのですが、大きくなってからウマにもあっと驚く特徴があることを知りました。それは「汗をかいて体を冷やすこと」だったのです。
 
角や大きな体は、“いざ”というときに戦うための武器ですが、そもそも汗により体を冷やしながら走り続けて逃げ切れば“いざ”とならない、まさに「三十六計逃げるに如かず」を自然界で体現している存在がウマだったのです。
古来、ウマは「高貴さ」「速さ」「自由」「美の象徴」などのモチーフとされているそうですが、こんな「逃げの美学」を無意識に感じ取っていたのでは?などと妄想しています。
  
副園長 やげた まこと